タツヤ
タツヤは深く息を吐くと、大きく深呼吸した。全身から汗が噴出し、心臓の鼓動が大きく波打つのが感じられた。
――死ぬところだった。
理佳が倒れ、自分の所にも"奴"が来たのだ。
タツヤの前に広がる巨大なスクリーンには、大画面で巨大な"それ"――伽椰子――の顔が映し出されていた。巨大な伽椰子の顔は、瞬きすらせずに、恐ろしい表情のまま固まっている。左上には"一時停止"の文字が。
――マジで、死ぬほど怖かった。
タツヤは自分の部屋に戻ってきていた。
気持ちを落ち着かせた後、スクリーンの前のソファに座り、リモコンで再びDVDを再生させた。スクリーン上の伽椰子が、目を丸くしていた。
その表情を見るや、タツヤは込上げてくる笑いを堪えきれず、思わず腹を抱えて笑った。画面の中の伽椰子は、相変わらずキョロキョロと周りを見渡している。
タツヤはDVDを巻き戻すと、冒頭から流し始めた。
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